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日本、水素エネルギー戦略見直し、解決すべき課題は山積

2023-06-16


日本は2040年までに水素利用を6倍の1200万トンに増やす計画で、同時に今後15年間で官民共同で15兆円を投じて水素利用を促進する。

政府は6月6日、関係閣僚会議を開き、2017年に策定した「水素基本戦略」を改定し、2040年までに水素利用を6倍の1,200万トンに増やす目標を掲げた。今後15年間で官民が共同して15兆円を投資し、水素の利用を促進する。このほか、燃料電池や電解水水素製造装置など9技術が「戦略分野」に挙げられ、重点支援を受けている。

「コストを下げて需要を増やす」水素エネルギーの普及へ

西村康稔経済産業大臣は記者会見で「エネルギー危機の中で水素エネルギーは世界的に注目を集めており、この分野では世界各国がしのぎを削っている。脱炭素化を目指し、私たちは日本における水素導入の加速を支援したいと考えています。」同時に同氏は、水素エネルギーの「コスト削減と需要拡大」を支援するため、日本政府は支援政策の策定を加速し、水素エネルギーと化石燃料の価格差を縮小するための補助制度を確立すると述べた。水素エネルギーと化石燃料の価格差。

また、日本政府は水素エネルギー関連の研究や大規模生産への支援も行うと述べた。業界では、今回の「水素基本戦略」の改定により、水素エネルギーを我が国の柱産業として確立し、これを踏まえた海外展開を目指すというのが一般的な見方である。

日本の一部の水素エネルギー企業も「水素基本戦略」の改定を歓迎した。トクヤマ電解事業化チームの田中裕樹氏はメディアのインタビューで「水素需要を喚起する政府の戦略に期待している。日本には水電解装置の技術的優位性があるので、水素の需要喚起は重要だ」と語った。この利点を活用する方法を見つけることです。」一方で、海外メーカーとのコスト競争も激化しており、官民一体となって対応していきたいと考えています。」

国の基準がないことに危機感を抱く

日本は水素エネルギー技術の開発において一定の優位性を持っており、国家レベルで水素エネルギー戦略を最も早く実施した国の一つでもあると理解されている。トヨタや日産、パナソニックなど多くの日本企業が水素技術の特許を多数保有しており、2017年改定の「水素基本戦略」では、2030年を目途に水素燃料発電の実用化を実現すると宣言した。

しかし、水素は日本の唯一の分野ではありません。関連計画によると、2025年までに中国の燃料電池車保有台数は5万台に達し、再生可能エネルギーによる水素生産量は年間10万トンから20万トンに達するという。同時に、欧州と米国も関連戦略を積極的に展開しており、例えば、米国は2050年までにグリーン水素年間生産量5,000万トンを達成する計画であり、欧州連合のエネルギー転換行動計画「REpowerEU」は、年間生産量1,000万トンのグリーン水素システムを確立する。同時に、各国はグリーン水素の生産を促進するための水素関連の規格の策定や、炭素排出削減のためのブルー水素の規格の強化にも積極的に取り組んでいます。対照的に、水素エネルギー技術の優位性を有する日本は、水素エネルギー基準の国際的な声を高める努力はおろか、関連する国家基準をまだ発行していない。

ある経済産業省幹部は「日本は水素エネルギーで他国に負けてしまうのではないか」と危機感を露わにしたことがある。

新しいエネルギーは古い問題を解決できない

水素基本戦略の改定では、大型外航水素運搬船に関する技術開発を日本政府が支援することも強調されている。現在、日本の川崎重工業株式会社は、川崎重工業は現在、液化水素の船舶輸送技術を有する唯一の企業であり、世界初の液化水素輸送専用船が今年2月にオーストラリアから日本まで初の水素輸送航海を完了した。

しかし、水素は新しいエネルギー源であるにもかかわらず、エネルギー輸入への依存度が高いという日本の古い問題の解決には役立っていません。川崎重工業常務執行役員エネルギーソリューション・海洋・水素戦略本部長の西村元彦氏は、「日本は資源に乏しい国として、エネルギーのほとんどを輸入しているが、エネルギー消費量が最も多い国の一つでもある。日本の再生可能エネルギーの開発余地は限られており、製造時の炭素排出量を削減するには、現在、水素製造には電解水に頼るしかなく、膨大なエネルギー消費量を再生可能エネルギーと国産水素でまかなうことは困難です。海外からの安価で安定した水素の供給がなければ、日本は経済的に消極的になるだけでなく、エネルギー安全保障のリスクに直面することになるだろう。」

さらに、西村茂彦氏は、100%グリーン水素を日本に届けるという目標は短期的には達成できないとも述べた。現在、世界の水素のほとんどは製造過程で炭素を排出するグレー水素であり、水素輸入国である日本には選択肢が多くない。 「日本政府の計画によれば、2030年までに水素の総輸入量は300万トンに達し、そのうちグリーン水素とブルー水素が約14%を占める。」


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